新居祝いに書の作品を贈る|壁に飾るものを贈るということ

新居祝いに、という理由で作品をお選びになる方がいらっしゃいます。

家が新しくなるタイミングは、飾るものを迎えるにはいい機会です。壁がまだ何もない状態で、これから少しずつ埋まっていく。その最初の一点になれるなら、書き手としてはうれしいことです。

ただ、贈り物として選ぶ場合、少し考えたほうがいいことがあります。今日はそのあたりを書いてみます。

目次

壁に飾るものを贈るということ

新居祝いの難しさは、贈るものが相手の家に長く残るところにあります。

食べ物やお酒なら、いずれなくなります。タオルや洗剤も使い切ります。でも、壁に飾るものは、その家にずっと在り続けることになります。

これは、いいことでもあり、難しいことでもあります。

気に入っていただければ、何年も目に入る。そのたびに贈った人のことを思い出していただけるかもしれません。

逆に、好みに合わなかった場合、相手は困ります。飾らないわけにもいかず、かといって飾りたくもない。押し入れに仕舞ったことに、どこか後ろめたさを感じさせてしまう。

ですので、壁に飾るものを贈るときは、相手の好みをある程度わかっている関係であることが前提になると思います。

親子、兄弟、長い付き合いの友人。そういう間柄なら選びやすいです。あまり深く知らない相手には、少し重い贈り物かもしれません。

好みがわからないときは

相手の好みに自信がない場合、いくつか方法があります。

ひとつは、色を抑えた作品を選ぶこと。多色が響き合う作品は個性が出ますが、色数の少ない落ち着いた作品なら、どんな部屋にも収まりやすいです。

もうひとつは、小さめの作品を選ぶこと。大きな作品は置き場所を選びますが、小さい作品なら棚の上でも玄関でも、置ける場所の選択肢が広がります。

それから、一緒に選んでいただくという方法もあります。

サプライズにはなりませんが、「新居祝いに何か贈りたいので、好きなものを選んでほしい」と伝えて、一緒にご覧いただく。この方法なら確実に喜んでいただけます。ご相談いただければ、そういう形にも対応しています。

飾るものは長く残るので、そこは驚きより確実さを取ってもいいのではないかと思います。

渡す時期のこと

新居祝いは、引っ越しが落ち着いてから渡すのが一般的とされています。

引っ越し直後は、荷解きの最中で、置く場所も決まっていません。そこにものが届くと、置き場所に困ります。

一般には、引っ越しから半月から二ヶ月ほどの間に渡すのがいいと言われます。新居に招かれる機会があれば、そのときに持参する形が自然です。

ただ、飾るものの場合は、少し早めでもいいかもしれないと思うことがあります。

家具の配置を決める段階で作品が手元にあると、「ここに掛けよう」と考えながらレイアウトできます。あとから作品が来ると、すでに家具が決まっていて、掛ける場所が残っていないことがあるので。

このあたりは、相手との関係や状況によります。

熨斗と表書きのこと

新居祝いとして贈る場合、熨斗をつけるかどうかという話になります。

新築や引っ越しのお祝いは慶事なので、紅白の蝶結びの水引を使います。何度あってもよいお祝いという意味です。結び切りは婚礼や快気祝いに使うもので、新居祝いには合いません。

表書きは、状況によって使い分けます。

家を新築された場合は「祝御新築」または「新築祝」。中古住宅を購入された場合は「御新居祝」。マンションを購入された場合も「御新居祝」が無難です。賃貸への引っ越しの場合は「御引越祝」または「御餞別」になります。

新築と書いてしまうと、中古を購入された方には合いません。相手の状況がはっきりしないときは「御新居祝」にしておくと、どの場合でも収まります。

下段には、贈り主の氏名を書きます。連名にする場合は、右から目上の順に並べます。

包装や熨斗については、ご注文時にご相談いただければ対応します。

般若心経を新居に贈るということ

般若心経を贈ることについては、少し考えたほうがいい点があります。

お経を書いた作品なので、受け取る方によっては仏事を連想されることがあります。新居祝いという慶事に、それがふさわしいかどうか。

私の考えとしては、問題ないと思っています。般若心経は葬儀のときだけに読まれるものではなく、日常のなかで唱えられてきたお経です。家の安寧を願う気持ちと、それほど遠くありません。

ただ、これは受け取る方の感覚によります。仏事の連想を持たれる方が相手なら、避けたほうが無難かもしれません。

宗派についても確認が必要です。浄土真宗や日蓮宗のお宅では、般若心経を読む習慣がありません。このあたりは般若心経を贈り物にするに詳しく書きました。

どこに飾っていただくか

贈る側が飾る場所まで決めることはできませんが、想像しながら選ぶことはできます。

玄関に飾っていただくなら、小ぶりで明るめの作品。玄関は暗いお宅も多いので、色が沈まないものがいいです。

リビングなら、少し大きめでも収まります。家族で見る場所なので、誰が見ても落ち着く色合いを。

新居に和室があって床の間があるなら、そこに置ける一点というのも喜ばれます。床の間は、何を置けばいいか迷う場所なので。

それぞれの場所については玄関、リビング、床の間の記事にまとめています。

新しい家の、まだ何もない壁に、最初の一点として掛けていただけたら。そう思いながら書いています。

作品はレインボー般若心経の作品一覧からご覧いただけます。贈り物としてお考えの場合は、ご相談いただければ包装や熨斗についてもご案内します。

この記事を書いた人

岩手県遠野市生まれ。外資系船会社勤務を経て、結婚・子育てをしながら書道の道へ。文化書道にて免許を取得後、板橋の書道大学で漢字・かな・古典臨書・般若心経を学ぶ。吉川蕉仙氏に師事し、日展入選2回、読売書法会幹事を務めるなど高い技術を持つ。2016年より田園調布にて「清景書道教室」を主宰。パリのジャパンエキスポ招待出展や、銀座・麻布十番での個展など国内外で活動。「日常に溶け込み、愛でていただける書」をコンセプトに、日常がより充実する書道教室を展開している。

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