仏壇の近くに般若心経を飾る|置く位置と、宗派で気をつけたいこと

仏壇のあるお宅から、般若心経の作品についてご相談をいただくことがあります。

「仏壇の近くに飾ってもいいものでしょうか」というご質問が、けっこう多いです。

お経を書いた作品なので、扱いに気を遣われるのだと思います。今日は、仏壇のある部屋に作品を置くことについて、思っていることを書いてみます。

目次

飾ることと、拝むこと

まず、はっきりさせておきたいことがあります。

私が書いている作品は、拝むためのものではありません。

お寺でいただくお札やご本尊とは、性質が違います。魂を入れる儀式をしているわけでもありませんし、私は僧侶でもありません。あくまで、書の作品です。

ですので、仏壇のなかに納めるようなものではないと思っています。仏壇のなかは、ご本尊とお位牌の場所です。そこに書の作品を入れる必要はありません。

作品は、仏壇の外に飾るもの。そう考えていただくのがいいと思います。

仏壇との位置関係

では、どこに置くか。

仏壇の脇の壁、あるいは仏間の壁面に掛けている方が多いです。仏壇と同じ空間にありながら、仏壇そのものとは別に存在している。そういう置き方です。

避けたほうがいいのは、仏壇の真上です。

仏壇の上に何かを置いたり掛けたりするのは、一般的に好まれません。上の階に人が歩く部屋がある場合に「雲」や「天」と書いた紙を貼る習慣があるくらいで、仏壇の上は空けておくという感覚があります。

作品も同じで、仏壇の真上に掛けるのは避けたほうが無難だと思います。

仏壇の正面に向かい合う位置も、少し考えたほうがいいかもしれません。手を合わせるときに背中側になるので、拝んでいる間は見えません。それでもいいという方もいらっしゃいますが、飾る意味を考えると、脇のほうが自然な気がします。

高さについては、仏壇の高さに合わせるという考え方があります。

仏壇には、ご本尊を安置する高さがあります。その位置より上に何かを置かない、という感覚を持っていらっしゃる方は少なくありません。作品を掛ける場合も、ご本尊の高さより低めにしておくと、気にされる方がいても落ち着きます。

もっとも、これは厳密な決まりではありません。ご家族のなかに気にされる方がいるかどうか、というくらいのことだと思います。同居されているご家族がいらっしゃるなら、置く前に一言相談されると、あとでもめずに済みます。

床置きの小さい仏壇や、上置きタイプの仏壇の場合は、そもそも高さの制約が違ってきます。ご自宅の仏壇の形に合わせて考えていただければと思います。

宗派のこと

般若心経は、日本の多くの宗派で唱えられているお経です。

ただ、すべての宗派で唱えられているわけではありません。浄土真宗と日蓮宗では、般若心経を読む習慣がないとされています。

浄土真宗は南無阿弥陀仏の念仏を、日蓮宗は南無妙法蓮華経の題目を中心とする教えです。それぞれに大切にしている経典があり、般若心経はそこに含まれていません。

ですので、ご自宅の宗派がこのどちらかである場合は、仏壇の近くに般若心経を置くことについて、ご家族やお寺に一度確認されたほうがいいかもしれません。

作品として飾るぶんには問題ないと考える方もいらっしゃいますし、避けたほうがいいと考える方もいらっしゃいます。私の立場から「大丈夫です」とは言い切れないところです。

贈り物としてお選びになる場合も同じで、贈る相手のお宅の宗派は確認したほうがいいです。この点は般若心経を贈り物にするにも詳しく書きました。

線香の煙のこと

仏間ならではの注意点として、線香の煙があります。

毎日お線香をあげているお宅の場合、長い年月のうちに、部屋のものに煙のヤニがついていきます。壁が少しずつ色づいてくることもあります。

額装した作品も同じで、額のガラスやアクリルパネルの表面に膜がついてきます。作品そのものはガラスやアクリルパネルで守られていますが、ガラスやパネルが曇ると色が見えにくくなる。

対策としては、時々、表面をを拭くこと。それだけです。

半年か一年に一度、乾いた柔らかい布で拭く。汚れが取れにくいときは、薄めた中性洗剤を布に含ませて拭き、そのあと乾拭きします。ガラスクリーナーを直接吹きかけると、額の縁から液が入ることがあるので、布に含ませてから拭くほうが安全です。

仏壇の掃除をされるときに、ついでに拭いていただくくらいでちょうどいいと思います。

仏間の光と、色のこと

仏間は、家のなかでも暗めの部屋であることが多いです。

北向きに作られていたり、奥まった位置にあったり。仏壇そのものが黒や濃い木の色をしているので、部屋全体の印象も落ち着いています。

この環境では、濃い色の作品は沈んで見えます。せっかくの色が、暗さのなかに埋もれてしまう。

明るめの色、特に金を含む作品は、仏間の暗さのなかでも浮かび上がります。もともと仏具には金が多く使われているので、相性もいいのだと思います。

ただ、これは好みの問題でもあります。落ち着いた青や紫を選ばれる方もいらっしゃいますし、それも仏間には合います。

床の間のある和室に仏壇を置いているお宅もあります。その場合は和室の床の間に書を飾るも参考にしていただけるかもしれません。

お盆やお彼岸のこと

仏壇のある部屋は、一年のなかで特別な時期があります。

お盆、お彼岸、それから故人の命日。家族が集まって、ふだんより長くその部屋で過ごす日です。

そういう日に、部屋に般若心経の作品があるということ。それは、迎える側のちょっとした支度になるのかもしれません。

普段は気に留めていなくても、その日だけは目に入る。あるいは、集まった家族の誰かが「これは何」と聞く。そこから話が始まることもあります。

お盆・お彼岸と作品の関係についてはお盆・お彼岸に般若心経を飾る意味に書きました。

構えなくていい場所として

仏間というと、少し畏まった場所という印象があるかもしれません。

実際、日常的に長く過ごす部屋ではないお宅が多いと思います。朝にお線香をあげて、あとは扉を閉めている。そういう使い方も普通です。

ただ、作品を置くのであれば、あまり構えなくていいと私は思っています。

お経を書いたものだから丁重に扱わなければ、と考えると、かえって置きにくくなってしまう。掃除のときに動かせない、模様替えもできない、では日常のなかで生きません。

書の作品として、普通に飾っていただければと思います。汚れたら拭いて、位置を変えたくなったら変えて。そういう扱いで大丈夫です。

般若心経という経典そのものについては般若心経とはに、色墨で書く作品についてはレインボー般若心経とはにまとめています。

作品はレインボー般若心経の作品一覧からご覧いただけます。

仏壇のある部屋に置くことを考えていらっしゃるなら、写真を送っていただければ、位置や色についてご相談に乗ります。

この記事を書いた人

岩手県遠野市生まれ。外資系船会社勤務を経て、結婚・子育てをしながら書道の道へ。文化書道にて免許を取得後、板橋の書道大学で漢字・かな・古典臨書・般若心経を学ぶ。吉川蕉仙氏に師事し、日展入選2回、読売書法会幹事を務めるなど高い技術を持つ。2016年より田園調布にて「清景書道教室」を主宰。パリのジャパンエキスポ招待出展や、銀座・麻布十番での個展など国内外で活動。「日常に溶け込み、愛でていただける書」をコンセプトに、日常がより充実する書道教室を展開している。

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